ある朝、ひとつの花が咲いた。
夜には花を閉じている。
一夜限りの開花。
受粉はワンチャンス。
実を結び、やがて弾ける。
種子と成る。
ひと花ごとの営み。
実を結ぶことなく、落下する花も。
徒花は土と成る。
真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。
これを、ここに、置いてみたわ。
すべては命。
ただそれだけの幸せ。
わたしのポケットの中で。
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