湯呑が置かれている。
小ぶりの陶器。
左手の指先が湯呑を持ち上げる。
そのまま口元へ。
左手の指先が湯呑を置く。
お茶は飲み干された。
湯呑が置かれている。
真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。
これを、ここに、置いてみたわ。
それも刹那。
ただそれだけの幸せ。
わたしのポケットの中で。
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