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update:20231005

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公園のベンチ

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ポケットが揺れている。

何かが動いている。

そっと手を入れてみた。

渦、だった。

手に感触する渦。

渦が手を撫でる。

渦は指の間に間に絡んでいく。

右巻きに、左巻きに。

干渉して、

増幅する渦、打ち消し合う渦。

すべては時の紋様。

渦はわたしのポケットの中、

渦はわたしの所持品、

渦はわたしを知っている、

わたしは渦を知らない、

渦はわたしの所持品、

記憶という名の所持品。

記憶の中で生きている。

記憶の中の公園。

記憶の中のベンチ。

記憶の中のあなた。

記憶の中のわたし。

記憶の紋様。

真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。

2023/10/05