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update:20220608

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公園のベンチ

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輪転写

雲の写真を撮っている人。世間の枠と自分の枠を重ねて写真を撮ると言う。楽しそうに語った。意欲が伝わってきた。

わたしは、その勢いに圧された。

思えば、あの御人。
公園を立ち去った、あの御人も。 自分を語るためにわたしを見つけたようなことを言っていた。
ひとしきり、自分を確かめるように語ると公園を立ち去った。

わたしは、ただ聞いていた。

公園を立ち去った御人と雲を撮る人。
二人に互いの接点は無い。
それぞれのふたつの色が、
わたしの中で混ざり合う。

わたしもふたつの色にそれぞれに混じっていく。

公園を立ち去った御人に混ざったわたし。
雲を撮る人に混ざったわたし。
そんなわたしは、わたしの手の届かぬところへ。
それはもう、果たしてわたしなのだろうか。

きっと、誰しもが、世間の枠の中では、「私」の手の届かない「私」が「私」として存在しているのだろう。

「私」のスピンアウト。

「私」の幻想が独り歩きする。

独り歩きする「私の幻想」は現実。

雲を撮る人は、左手の世間の枠の中に自分自身も含まれていることに気付いていたのだろうか。「自分の枠」を重ねながら....

どこへ向かっているのだろう。

真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。

2019/08/06